犬を飼う上で、重要なことの一つに、行きつけの動物病院、もしくは獣医さんを持つ、というのがあります。
これは最初っから大変だなぁと思っていました。
というのも、スペインに来て、6年は経つ私ですが、人間のワタシでさえ、未だに自分の行きつけの美容院も病院もまだないからです。
行きつけのびょういん
この際、美容院はいいとしても、病院で信頼できる先生というのがいないのは結構キツイ。日本にいた時は、耳鼻科ならココ、歯医者ならココ、内科ならココみたいにきっちりしていたのですが、スペインじゃそうはいきませんでした。
スペインの人間の医療制度は、日本と少し違っていて、公立病院と私立病院があります。公立病院は市民全員へのサービスみたいな感じなので、収入があろうがなかろうが、国籍に関係なく、誰でも無料で通えるし、治療もしてくれます。お薬も割引が利きます。住んでいる地域でかかる病院が決まっていて、担当の一般医(家庭医)も決まっているので、何か悪いところがあったら、その一般医の予約を取らないといけません。緊急の場合は、救急でアポなしでも診てもらえますが、症状がたいしたことないと、すごい時間待たされます(これは日本もそうですね)。
そういうシステムは非常にありがたいのですが、専門医の診療が必要になるなど多少込み入った内容になってくると、かなり待たされたりするんです。
たとえば、花粉症。
待たされる 待たされる…
ワタシは極度の杉花粉症ですが、スペインは杉があまりないからラッキーと思い、こちらにやってまいりました。しかし、そんな幻想はつかの間、こっちにきて3年過ぎたあたりから、花粉症が日本にいた時みたいにひどくなってしまいました。今年もかなりひどいですが、日本だと2月末から始まる症状が、スペインだと1月末から始まるのです。なんか変だな、と思い、もしや他にアレルギー反応のある草木があるのではないかと疑い、アレルギー検査を公立病院に申請したのですが、
一般医へ予約
診療受けに入ったら、まずは一般的な血液検査をしてくださいといわれる
血液検査をする
結果待ちで1週間待たさされる
結果を聞きに言ったら、「やはり、貴方はアレルギーがありますね」と言われる。(だから、そんなの百も承知だってば!)
アレルギー医に予約を取って、アレルギーの詳細検査をしましょうといわれる。
予約がいつできるかはそのうち電話しますと言われる。
まぁ、1ヶ月以上は待つでしょう、と言われる。
何じゃそりゃー!ですよ。愚痴になるけど、日本なら、耳鼻咽喉科に直接行って、即日アレルギー検査して、即日で結果出ますよ。スペインじゃ、何のアレルギーか分かるために、何ヶ月もかかるって、ありゃぁぁ。って感じ。
と、こういう風に、多少難しい事態になると嘘みたいに待たされるので、最悪の事態に備えて、私立病院にも通える体制を取っていくことが必要になるのです。
私立の病院には私立の医療保険
私立病院に通うためには、私立の保険制度に加入する必要があります。こっちは有料ですが、毎月高めに払って、診療する際はほぼ無料に近い、というものと、毎月少なめに払って、診療する際も、そこそこ払う、という二つの制度があります。
ワタシは最初、「高めに払って…」の仕組で加入したのですが、あんまり病院もいかないし、サービスも公立と比べてそんなに良い感じがしなかったので、「少なめに払って…」の方へ切り替えました。
私立の医療保険に加入していると、その保険会社と提携している病院やクリニックへ行きます。日本みたいに、専門医へ直接行ってしまうことも可能です。この方法で、かつて直接眼科へ行ったことがありました。しかし、どうも満足いかなかったので、毎月、私立の医療保険は払っているものの、軽い風邪なんかの場合は、公立病院へ行っています。私立の病院では出された薬に保険が利かないから、軽い症状の場合は公立病院の方が良かったりするんですね。あぁ、複雑。
そんなこんなで、アレルギー検査も私立病院へ行こうかと思ったのですが、周囲からは私立もあんまり変わらないよ、緊急じゃないんだから何ヶ月か待ってみれば、と言われて、そのまんま今に至ります。今では、ワタシはやっぱり杉花粉症で、ただスペインでは杉の開花が少し早いので、早めに症状が出るんじゃないか、と自己判断するに至っています。
別にスペインの医療がダメというつもりはないんです。この前仕事で、大学の医学部の学生さんの試験監督をする機会があったのですが、みんな真面目に勉強している学生さんたちって印象でした。ああいう人たちが、スペインの医学の将来を担うんだから、ね。
島国根性のワタシが、なかなかこちらの仕組に慣れることができていなんですね。
で、ネモの話に戻りまして、人間でさえ、こんなだから、動物だったらどんなかしら、と当初は心配だったのでした。
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