【スペイン】我が子の休校中の授業の「デジタル化」「オンライン化」はこんな感じ

幼児の教育
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スペインの学校は、2020年3月中旬から休校となり、5月29日現在未だ継続中です。緊急事態宣言自体は、2週間ごとに期限が更新されて、フェーズ1とかフェーズ2とか地区によってだんだん緩和されていく流れにあります。

一部の地域の中には学校再開の流れがあるようですが、私の住むカタルーニャはバルセロナはまだまだ先だろうなという状況です。ニュース記事等によれば、まず今学期は無理で、9月からの新学期も全員一斉登校は厳しいんじゃないかなと言われています。

それでは、現在の子供たちはどんな感じで日々を過ごしているのでしょう。実際、他の家のご家庭のことはあまり分からないので、あくまでも我が家の場合ということで少し現状を紹介したいと思います。

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我が子の学校は、アットホームな地元の学校

私の子供が通っているのは、バルセロナ市内のコンセルタードという政府の補助のある私立学校の一つです。幼稚園から高校までの一貫校ですが、大規模なエリート校とかではなく、各地域に一つはありそうなアットホームな小規模の学校です。常日頃からハイテクを駆使するよりも、いろいろ手作り度が高い感じのところ。生徒さんも、国籍問わずいろいろな人が通っています。決して「家にタブレットやパソコンあります」という家庭ばかりではなさそうな環境です。

また休校中の授業の方法は、国や自治体から統一した方策は一切出ていないので、各学校や学年でバラバラな形で試行錯誤の中なされていると理解しています。私の子供は日本でいう小学校1年生なので、オンライン授業がなかなか難しい学年。同じ学校でも、おそらく小学校の中・高学年、中学生や高校生は、もっと違った方法で授業がなされているでしょうが、あくまでも我が家の小学校1年生のケースとしてご理解くださいませ。

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何の前触れもなく休校が決定

日本の学校の休校もそうだったと思うのですが、スペインの学校の休校が3月中旬に決まった際も突然でした。

それは、3月12日(木)正午をまわったあたりの出来事で、明日から学校はありません、とカタルーニャ自治州が決定しました。

「はぁ、明日から?」

奇しくも我が子は体調不良のため学校を欠席していた日のことでした。

3学期の教科書は学校に置いたまま…

こちらの学校は毎日教科書を持ち帰ったりしないので、1年分の教科書が全部学校に置いてあります。欠席していた我が子は学校にいないので、急いで担任の先生に連絡を取って、学校の受付に教科書一式を置いておいてもらうことにしました。夕方に受け取った教科書は2学期分(3月分まで)のもの。全科目ではなく、スペイン語とカタルーニャ語(ともに2学期分のみ)、算数の教科書のみでした。

「うーん、英語とMedi(Medio Ambienteの略、日本の「生活」みたいな科目)の教科書がないなぁ。えっと、3学期の教科書は持ち帰らなくていいのかな。休校はもっと長引くんじゃ…」と一瞬思ったのですが、先生たちも忙しいだろうし…、と大人しく教科書を受け取って学校を後にしたのでした。

という感じで、学校側も何の準備・対策をする時間もないまま、休校に突入したので、最初は本当に何にも決まっていない状態でした。

最初の2週間はEメールでの連絡

最初の2週間は、週に一度、学校から持ち帰った教科書のXXの科目のXXページをやってください、という指示がEメールで来る形で、課題が課されました。算数、カタルーニャ語、スペイン語、音楽、体育と、各科目ごとに家でやることがざっくりと書かれていました。

Eメールを持っていないご家庭というのが存在したかは分かりませんが、とにかくこの時点では、親のメールアドレス宛に先生から連絡が来ていました。普段も子供が学校を欠席する際には、電話だけではなく先生のメールアドレス宛に連絡していたりしたので、学校側も各家庭のEメールを把握していたのかもしれません。

教科書のデジタル版の案内

その後、カタルーニャ語とスペイン語とMedi(生活)の教科書のデジタル版の使用が案内されました。

教科書の出版社のホームページに登録して、教科書の表紙の裏に記載されているコードを入力する形になっていました。この存在は以前から知っていましたが、学校からこれを使用して学習しますよ、と言われたのは今回が初めてだったかもしれません。

もっとも、生徒によってはデジタル環境が整わない人もいたらしく、その後このデジタル版教科書が積極的に活用されることはありませんでした(うちのクラスの場合)

オンラインのような授業化少しずつはじまる

そして、4月中旬の聖週間のお休みをはさんで3学期に突入したころ、具体的な施策が開始されました。休校が長期化しそうだという流れを踏まえて、本腰を入れてオンライン化に着手したのでしょう。

各家庭のデジタル環境の把握

まず、各生徒の家庭でのデジタル環境がどの程度なのか把握するために、家庭に

  • インターネットの接続環境
  • パソコンやタブレットなどのデジタル機器

があるかという質問が飛んできました。

我が家は、夫こそ昭和のアナログ人間ですが、私がデジタル系のオタクに片足突っ込んでる人間なので、光ファイバーのインターネットやらパソコンやらタブレットやらが複数揃っていて、そこはネックにはなりませんでした。

しかし、各家庭の状況によってはそうでないところもたくさんあるでしょう。このあたりの差異を学校がどう判断し、どういう対策を取ったのかは謎です。

学校のメアドとGoogle Driveが与えられる

そして、学校のドメインを冠したメールアドレス(生徒の名前@学校名のドメインのアドレス)が、それぞれの生徒にメールで連絡されました。

このメールアドレスにはGmailからアクセスするようになっていて、このメアドでGoogleのカレンダーやGoogle Driveにもアクセスできるようになっています。ただし、この学校名のメールアドレスですが、学校のドメイン宛以外はメッセージの送受信はできない設定になっています。

さらに、Google Driveがこのメアドに関連付けられてGoogle Driveの共有フォルダが設けられました。

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学校からの課題等をGoogle Driveの共有フォルダを通じて閲覧・提出するためです。ただし、学校のメールアドレスでアクセスするGoogle Driveでは、学校のドメイン以外のメールアドレスとは、ファイルの共有をできない設定になっています。

Google Driveで課題を共有・提出

Google Driveを開き、子供のアカウントにアクセスすると、学校の課題のフォルダ(TASQUES)と、生徒の名前のフォルダが見えます。

Google Drive

学校の課題のフォルダは読み取り専用になっていて、新たにファイルを追加したりはできません。

課題を行なったら、生徒の名前のフォルダにアップロードして提出する、という流れになりました。これまでEメールで行なっていたことを、Google Drive経由で行なうことになったわけです。

我が子のクラスの「オンライン授業」の内容

さて、次に毎日どのような形でオンライン授業が進められているのか、見ていきましょう。繰り返しますが、我が子は小学校1年生。集中力も長くは続かない年齢ですし、いわゆるオンライン授業は最小限の形になっています。

同じ学校でも学年が上になると方法も変わってくると思いますし、他の学校ではまた全然違った方法が取られているかもしれません。

平日は、毎日30分のビデオ通話

月曜日から金曜日は毎日30分間、Google Meetを使用したビデオ通話が実施されます。

  • 月→担任の先生
  • 火→隣のクラスの先生
  • 水→音楽の先生
  • 木→担任の先生
  • 金→英語の先生

というローテーションで、クラス全員の生徒が参加する形で行なわれます。

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30分のビデオ通話の内容は?

ただビデオ通話の内容は…、小学1年生ということもありますが、内容的には授業というよりホームルームみたいな感じで、みんなが顔を合わせてわいわいやる感じに近いです。しゃべりたい子が勝手に話したり、生徒さんの誰かの家庭音が流入して先生がマイクオフにしたり、時折カオスみたいな時間帯も…。

日によっては、みんなで算数の問題を解いたり、特定の生徒さんの朗読を聞いたり、特定の生徒さんのピアノ演奏を聴いたり、なぞなそやゲームを行なったり、英語の授業では先生の質問に英語で答えたり、学校の他の教科の先生や職員が飛び入りで参加したり、…とかやっています。

しかし、授業内容が構造化されているわけではないので、どんな内容を行なうかよりもはみんなの顔を確認することがメインになっている感じです。参加者も全員ではなく、クラスの8~9割が参加しているかな、という状況です。一度も出席していない生徒さんもいます。おそらくビデオ通話をするデジタル環境がないからかもしれませんが、先生がどういうフォローをその生徒さんに行なっているかは謎です。

毎週月曜日に1週間の課題が送られてくる

普段の課題は、毎週月曜日にGoogle Driveの共有フォルダの中に課題が様々なファイル形式で投入されます。カタルーニャ語、スペイン語、算数、Medi(生活)、英語、音楽、体育、宗教、と科目が分かれています。

それぞれの科目の先生が課題を放り込んでいるので、フォーマットも内容も科目によって様々です。

カタルーニャ語、スペイン語、生活

Image by Nikolaus Bader from Pixabay

カタルーニャ語、スペイン語、Medi(生活)は、プリント学習が中心です。課題はPDFで送られてきます。各自、プリントアウトしたり、オンラインで記入したりして、週末までに課題をGoogle Drive経由で提出します。

うちの場合は、

  1. PDFを印刷
  2. 子供が記入
  3. 記入済みの紙をスキャナーで取り込む
  4. Google Driveにアップロード

という手順で提出していますが、家庭によっては、PDFにそのままデジタル上で書き込んで提出したり、PDFは印刷せずに閲覧のみで課題の答えを別の紙に書いたものをスマホのカメラで撮影して提出したり、と各自の環境に合わせて取り組んでいるようです。

分量や大→小へ

分量は、最初はそれなりに多かったのですが、親の負担が大きかったのか、その後量が減って、1週間にそれぞれの科目から1~2枚のプリントとなりました。

これにプラスして時折、先生の作成したビデオ解説動画や、「植物を育ててみよう」、「お料理をしてみよう」みたいなテーマ型の課題や、授業に関連した動画やオンラインで取り組めるインタラクティブな教材の案内が追加されたりします。

さらに毎日、カタルーニャ語かスペイン語のディクテーション(聞き取り)の問題が1文ずつ出ます。これも当初は親が文を読んで、子供が答えを書くという流れだったのですが、家庭によっては「親がカタルーニャ語、読めないんですけど…」みたいな意見があったのか、途中から先生が録音した音声ファイルを再生する形で聞き取りの学習が行なえるようになりました。

算数

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スペイン語や生活といった科目は、3学期の教科書が学校に置いたままになっているので、プリント学習が中心となっています(デジタル化教科書は使用されず)。

算数は幸い教科書を持って帰ってきているので、算数の課題は教科書のページを先生が指定して行なっています。教科書の問題を解いて、スキャナなりスマホのカメラで撮影して提出、という流れです。分量は、1日1ページという感じですね。

それに追加で、算数の教科書の会社から、オンラインのインタラクティブな算数の教材のアプリが出ていて、それを余裕がある人はやっておいてね、という感じになっています。

正直、こっちの学校の算数は、進みが早いです。日本での学習に慣れている私からすると、こんなの小さい子は分かんないでしょ、という内容が早いうちからガンガン出てきます。なんだろう、メソッドが違うというか…、基礎から1つ1つ理解するというよりは、多少難しいこともどんどん目に入れてたら、そのうち分かるようになるさ的な方針?。

うちの子は到底授業に付いて行っている感じがしなかったので、学校の算数と並行して、日本のアマゾンでゲットしてきた公文Z会(ただし幼稚園児用)の市販のワークもやっています。子供が7~8割分かるレベルの問題集じゃないと、士気が下がるので。

ベネッセの進研ゼミも継続しているのですが(いつも実家から転送していました)、コロナ禍で日本からの郵便物が止まってしまい、実家から送れない状態なのは残念です。日本のアマゾンは多少割高ですが、注文してからスペインに3~5日でスピーディに到着するので、急いでいる時はありがたいです。

英語

Photo by Sharon McCutcheon on Unsplash

英語は、学校で使用している教科書が秀逸で私は大好きです。

ですが、教科書は学校に置いたままになっているので、デジタル版の教科書のアプリが案内されました。それでも、アクセスできる人が限られているからか、結局PDFのプリントで課題が指示される形に落ち着いています。英語の音声ファイルは、デジタル版教科書から聞いて、課題はPDFプリントに記入する感じ。

英語の教科書には、デジタル版教科書とは別に、教科書に連動したインタラクティブなゲーム型のアプリが存在していてその出来が素晴らしい!のですが、これもアクセスできる人が限られているからか、全く忘れ去られた存在になっています。うちの子は大好きなので、学校に提出はしないけど、平行して学習に使用しています。

音楽

Photo by Hal Gatewood on Unsplash

音楽は、毎週ピアノやキーボードでひくための曲の楽譜が配布されます。

家庭に鍵盤がない人のために、とiOSならGarageBand、AndroidならPerfect Pianoのアプリの鍵盤を使ってやってみてね、と案内があります。アプリが無理な人はピアノの鍵盤をプリントアウトした紙を使ってやってもいいよ、と鍵盤の付いたPDFファイルも添付してあります。

我が家にはカシオのデジタルピアノがあるし、iPadのGarageBandは時おり子供も楽しんで遊ぶので、それで課題を実施できるはず…なのですが、うちの子、ピアノの鍵盤の類が本当に…ひけない。音符にドレミファと記号をふってみても、それを見ながら、その音符の鍵盤を押さえるというのができないみたい。というわけで、この課題は全くできないまま今日に至ります。

この鍵盤の課題とは別に毎週先生が、音楽に親しむためのダンスや楽器の動画を作成して、おうちでやってみてね、となっています。先生が体張って撮影している動画を見ると、こっちも頑張ろうという気になります。

こうしたピアノやらダンスやらに取り組む子供の写真やビデオを撮影して、Google Driveの共有フォルダにアップします。

体育

Photo by Ketut Subiyanto from Pexels

体育は、プリントが1枚配られてきて、そこに1週間に取り組むべき運動の内容が記されています。多くが動画サイトへのリンクで、市内のテレビ局のホームページやYoutubeなどの動画リンクから、体を動かしてみよう、となっています。

さらに、毎週1つ、地方の伝統的な遊びに取り組んでみよう、みたいな試みがあって、その遊び方が紹介されています。

こちらも実際に運動している写真や動画を撮影して、Google Driveの共有フォルダにアップします。

宗教

子供の学校はキリスト教系の学校なので宗教の科目もあります。イエスキリストとかについて勉強するやつですね。宗教の課題は、週にプリント1枚となっています。塗り絵とか、動画のリンクから、キリスト教を理解してね、的な。

こちらも課題はGoogle Driveにアップロードします。

家庭学習での親の負担って大きくない?

Image by Davidqr from Pixabay

というわけで、家庭学習がずっとずっと継続しているわけですが、家庭学習での親の負担は…かなり大きいです。小学校低学年ほど、大きいんじゃないかな。

とくにうちの子は、本当にあきれるほどお勉強が大嫌いで、自分で進んで学習するとかは全くないので、もう親がプレッシャーをかけて、机に向かわせて、ママ・パパ家庭教師状態で取り組んでいます。

いちおう、夫がカタルーニャ語とスペイン語の担当、残りの科目は私が担当になっていますが、夫も忙しいとか面倒くさがってあまりやりたがらないから、週の初めに1週間の学習内容が分かった時点で、時間割を作って課題を割り振り、この時間だけでいいから担当してね、と夫にも念押しをしています。

ビデオ通話の時も全く放置というわけにもいかず(うちの子は油断するとビデオ通話を無視して別の場所で別のことを始める)、一緒になって課題に取り組んで、家のこともやって、ってかなりの負担増になったことは間違いないです。

一方で、これまで学校に丸投げ状態だった学習を、一旦家庭に戻したことで、子供が理解不足だった点が浮き彫りになったのは良い収穫だったと思います。こっちの学校って教科書を家に持って帰ってこないので、学校で何をやっているのか子供が話さない限り把握するのが困難なのです。どこまで理解しているのかもなかなか掴めなかったりして。だからこれまで、子供の学習レベルを全然分かってなかったな、と改めて思いました。

Image by Pexels from Pixabay

まとめ

以上、我が子の学校の休校中のオンライン授業の状況についてざっと説明してみました。こうして書き連ねてみると、オンライン授業っていうより、アナログなプリント学習が中心ですね。

私自身、昭和の人間で、プリント学習で育った世代なので、小学校の低学年のうちは、字はやはり紙に書いてほしいなと思っていて、デジタルでできる部分もあえて印刷して、アナログで行なっている感はあります。

Photo by Julie Fader on Unsplash

休校中の学校の授業をどうするか、国や地方政府の明確な方針がない中、各学校とも試行錯誤で行なっているのが現状ですが、我が子の場合はこんな感じなのでありました。どなたかの少しでも参考になれば幸いです。

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