脱皮する多肉植物は宝石か、それともホラーか

多肉植物
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最近の日本では、多肉女子タニラーなんて言葉があるようで、多肉植物はちょっとしたブームになっている感があります。多肉植物の中にも様々な種類がありますが、少し異色な存在なのが、リトープスなどの脱皮する多肉植物。今日は、脱皮する多肉植物は宝石かホラーかというお話です(下に続く…)。

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好き嫌いの分かれる多肉植物

数ある植物の中でも多肉植物というのは、好き嫌いが分かれる植物ではないでしょうか。

好きな人はがっつりコレクションして育てる、多肉オンリーで育てる人もいる。一方で、嫌いな人・関心がない人は、他の一年草や多年草や球根植物は育てるのに多肉は避ける。私も以前は、後者の関心がない人でした。この温度差は何なのか。

私に関して思うかぎり、やはり多肉植物を知らなかった、というのが一番かなと感じます。もちろん、見たことはあるけれど、サボテンに似た肉厚な植物という程度で、どういう世話をするのかもよく分からないし、水はあまりやらなくてもいいでしょ的レベルの知識。

植物を育てる人にとって、水遣りは楽しみの一つだったりするので、その水遣りをあまりしなくても良いというのは正直戸惑う場合もあるのではないでしょうか。

さらに、多肉植物の中でも、リトープスはさらに好き嫌いが分かれます。多肉好きの人でも、リトープスは苦手だわ、気持ち悪い、という人がいます。その一方で、リトープスだけを熱心に集めている人もいるわけです。

宝石としてのリトープス

このリトープスに関する情熱の温度差は何なのか。

リトープスを愛でる人たちは、リトープスのことを「宝石」と表現したりします。

草原の宝石

リトープスを宝石と表現したのは、たとえば、イギリスのサボテン・多肉植物協会のSteven A. Hammerらが、1999年に記した書「リトープス、草原の宝石(原題 Treasures of the Veldがあります。

上の画像は、フランス語版なので、草原の宝石が「Lithops, joyaux du veld」となっています。

20世紀のハードカバー本を入手するとなると図書館へ向かうことになりますが、この本はフランス語版が、電子書籍になっています。フランス語で読みたいという稀有な人はあまりいらっしゃらないと思いますが、ヨーロッパ各国のアマゾンのサイトからは電子書籍で購入可能なので、興味のある方があればぜひ。

最初に聞いた時は「Verd」ってどういう意味?そもそも英語?と思ったのですが、the verdと書いて、「南アフリカの草原地帯」を意味する言葉だそうです1 。スペイン語でもベルデ(Verde、緑)と言うし、緑という意味から派生しているのでしょう。

その名のとおり、リトープスは、ナミビアや南アフリカなど、まさに「南アフリカの草原地帯~the verde」に生息する多肉植物です。

生ける宝石

また、日本では、「生ける宝石リトープス」という表現をよく聞きますが、これは、上記の「リトープス、草原の宝石」の二年後2001年に発売された島田保彦氏著の「生ける宝石リトープス The Genus Lithops」が元祖ではないでしょうか。

島田保彦氏は、日本のリトープス栽培で有名な群仙園の先代の園主さんで、戦前からリトープスに関心を持ち、収集を続け、リトープス苗の世界的収集家であり日本での栽培の第一人者なんだそうです2

ちなみに、群仙園って群馬の桐生市にあるんだそうですね。案外、実家に近い場所にあったので驚きでした。こちらの本は電子化されていないので、興味のある方は図書館や古本屋等でご覧くださいませ。

さて、こうした著書の表現を見ても、リトープスを宝石と称して愛でるという文化が世界各国にあることが伺えます。丸くて様々な色の種類のあるリトープスをコレクションしたいという気持ち、それは宝石のルースを集めるような感覚に似ているのかな、と以前ルース収集にもハマったことのある私は思いました。

我が家の脱皮するリトープスを見て気がついた

急激に進む脱皮

ここで、我が家のリトープスを見てみましょう。ちょうど春で脱皮の真っ只中なので、そちらもご覧ください。

こちらが、2017年4月4日の様子。

3月上旬頃から一番下のリトープス福来玉(Lithops julii ssp. fulleri)が脱皮を開始していました。一方で、ほとんど動きのなかったのが、写真右上の紫勲(Lithops lesliei)でした。4月4日時点で、わずかに割れてきたかなという状態。

ですが、4月4日から4月6日にかけての二日間で大きな変化が。

紫勲よ、何が己をそんなに急がせたのかは存じませんが、いきなりパッカーンと割れてきたのです。ペースとしては1ヶ月前から脱皮を始めていた福来玉1号にあっという間に追いついてしまいました。

大写しで見てみる

紫勲をアップで見てみますと…

うーん、ちょっと待って。

これは…、思わずキャプションに「グロ注意(グロテスクな画像あります注意、の意)」と入れてしまいたくなる画像ではありませんか。

リトープス苦手派の気持ちが一瞬分かったような気がしました。

インスタグラムに写真を投稿したら、

「なんかエイリアンが出てきそうですね」

とおっしゃった方がいらっしゃいました。

この、中から未知のモノが飛び出してきそうな、リトープスの醸し出す異次元空間的オーラ。これこそが、多肉好きでさえも、リトープスが苦手と言わしめる真髄ではないかと思ったのでした。

脱皮は続くよ、どこまでも

そんな「グロ注意」だの「エイリアン」だの人間界からの野次はもろともせず、リトープスは今日も粛々と脱皮を続けます。

こちらは、4月11日の様子。

この数日間で、紫勲の脱皮はさらに加速していました。

紫勲は何を焦っているのでしょうか。遥か彼方のギャラクシーから、エイリアンが迎えに来る日が近づいているのかもしれません。

 

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