雨季と乾季の2つの季節を意識する:胡蝶蘭

植物のおはなし
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さて、これまで私が育てた植物についての総括として、バラベゴニア・エラチオールともみの木パンジー・バジル・パセリ・ラベンダーポインセチア・ゼラニウム球根植物(チューリップ、ローズリリー、畑地性カラー、ヒヤシンス)、シクラメンを紹介してきました。今回は最後になりますが、胡蝶蘭を紹介します。

結構長生きな胡蝶蘭

胡蝶蘭が我が家にやってきたのは2009年のこと。当時、下の階に住んでいた今は亡きご近所さんからプレゼントされた株でした。最初は、なんという花なのかさえ知らなかったほど。鉢を見ると、2008年と書いてあったので、生まれたのが2008年かしら、だったら我が家の飼い犬ネモの生まれ年と一緒だな、と思い、以来、愛犬と同じ年だけ生きている植物として、我が家で親しまれる植物となりました。気がつけば、もう8年。胡蝶蘭がこんなに長生きする植物だとは、最初は想像も付きませんでした。

花を咲かせる季節と葉を伸ばす季節

胡蝶蘭の原産地は東南アジア。東南アジアといえば、雨季と乾季のある亜熱帯気候です。当然、寒さには弱く、密林の中にひっそりと咲いているような植物なので直射日光にも弱い。なので、通常は、室内の暖かい場所で管理するのが基本になります。そして、夏も冬も適度にエアコンで空調管理がなされて、朝の陽の光があたるくらいの薄明るい環境、たとえば、人が適度に集まるリビングが、胡蝶蘭にとっては何気に過ごしやすい環境だったりします。我が家の胡蝶蘭のベストポジションは東に面したリビングです。

亜熱帯地方の、雨季と乾季という2つの対称的な気候があるなかで育ったからか、胡蝶蘭には、1年のうち、葉を伸ばす季節と、花を咲かせる季節という、2つの大きなサイクルが見られます。いや、2つの大きなサイクルしかありません。一年のうち半分(冬~春)は、花芽を伸ばし、茎を伸ばし、蕾を付け、花を咲かせるために時間を費やす時期となります。そして、もう一つの半分(夏~秋)は、薄暗い中で少しでも日の光を得ようと、ひたすら葉の数を増やし、水を少しでも得ようと地下茎を増やす時期となるのです。その時期の切り替わりは、花芽が出てきたら花の季節、もしくは、葉が新たに生えてきたら葉の季節が始まった、と判断できるのです。誰が教えたわけでもないのに、絶妙にこの時期を切り替える胡蝶蘭に、毎年、生命の神秘を感じずにはいられません。

打たれ強い植物

胡蝶蘭は温度の変化にはデリケートな植物です。寒すぎたり、暑すぎたり、許容範囲を超えた条件に置かれると一気にダメになるようです。それは、実家の胡蝶蘭を見てきたので、何気に冬場にエアコンを付けないと気温が大幅に下がってしまうような日本の地域で育てるのは大変なのかなぁと思ったりします。だから、常に人がいて、エアコンがそこそこ効いていて、温度が下がりすぎないような環境がベストなんだと思うわけです。

ただし、温度には弱い胡蝶蘭ですが、衝撃にはかなり強いです。子供が2歳のころ、リビングで活発に動き回っていて、鉢が棚から落ちて、鉢の中身が全て外に出てしまったことがありました。当時生えていた葉も半分以上は、根元からほとんど千切れてしまっているような状態でした。あ、胡蝶蘭、ダメかな、終わったかな、と一瞬思いました。根元から千切れかかっている葉たちはどうしよう、どうせ放っておいても枯れてしまうから、葉を切ってしまおうかとも思いました。ですが、葉が半分以上なくなってしまうのは、株へのダメージが大きすぎると思い、ぶらりと葉が垂れた状態で放置することにしました。葉が完全に枯れてしまったときに取り除けばいいやと思って。ですが、結局、取れかかった葉が枯れることはありませんでした。1年以上経った今も、ぶらりと半分垂れ下がったままの状態を保ちながら、青々とした葉の色もそのまままに生き続けています。花を咲かせると、咲かせた根元の葉っぱだけ、その役割を終えたみたいに、ゆっくりと黄色くなって、干からびて、さよならを告げてきます。毎年そうやって、ぶらりん垂れ下がりの葉は少なくなっていって、またいずれ元気な葉のみの株に戻っていくのでしょう。諦めちゃいけない、胡蝶蘭はそんな人生訓みたいなことまで教えてくれました。

今年の胡蝶蘭の様子

今年も胡蝶蘭は元気に育って、我が家で9回目の花を見せてくれるべく頑張っています。2016年11月28日に最初に花芽が出てきたのに気が付きました。

そして、下の写真が今現在、2017年1月24日の胡蝶蘭の様子です。

上の11月末の写真と比べるとこの2ヶ月のうちにグングン茎をのばしてきているのが分かります。枝分かれもしているような。今年は二番花はなくて、いっきに咲くのかもしれません。また、手前2枚のだらりとしているのが、転倒により根元が切れかかっている葉です。あと残すところ2枚となりました。枯れることなく、ここまでよく耐えてくれました。

水遣りの目安は鉢を持ち上げてみる

胡蝶蘭の水遣りの頻度は、それほど頻繁ではありません。2週間に一度、時期によっては一ヶ月に一度でも良いくらい。カラカラに乾いて、何日か経ってしまっていても、全然問題ないようなそういう頻度です。もちろん、花屋でウン万円もするような立派な胡蝶蘭に仕上げたいという場合は、肥料なり水遣りなり温度管理なり、もっともっと、気を使ってあげなければいけないのでしょうが、個人の家で、長々楽しむというレベルであれば、そこまで細かいことは気にしなくてもいいのかなと思います。

うちの場合の水遣りの目安は、まず目視で鉢や根が湿っているようなら取り敢えず、放っておく。根が乾いているようなら、鉢を持ち上げて、カラカラであっ軽い!と、ふわりと持ち上がったなら水のあげ時と考えます。そして、

  • 洗面所へ持っていって、蛇口からの水をどーっとそのまま、鉢の根元にかける。
  • 水をたっぷり受けた鉢底からは水が出て来るので、しばらくその状態を保つ30秒くらい。
  • その間、葉には直接水が掛からないよう気をつけながら、根元に水道水を流して、鉢をぐるぐる回しながら、全ての根に満遍なく水が行き渡るようにする。
  • 水道水を流し終わったら、そのまま、洗面所で、水が鉢底から流れなくなるまでしばらく待つ。
  • 水が流れ終わったのを見て、リビングの定位置に移動する。

という手順に水やりをしています。うっかり、カラカラになるまで放置し過ぎて、胡蝶蘭がちょっと元気がないかも、という時は、鉢より二回りくらい大きなバケツに水を張って、その中に、鉢ごと胡蝶蘭を落とし込み、水が葉にかぶらないくらいの高さをキープして、15分くらい放置することもあります。これができるためには、胡蝶蘭の植木鉢はプラスチックの軽い素材が理想です。

液体肥料をあげるときも、同様に、バケツの水の中に液体肥料を溶かし込んで、その中に鉢を入れる方法を取ります。ただ、液体肥料はめったに与えません。以前、一ヶ月に一度の頻度で与えていたら、葉が液体肥料の色みたいにほんのり赤くなってきたので、ちょっと与えすぎかなと思ったので。今は、花芽が出る少し前と、葉が伸び始める時期に、あげるくらいかも。

いずれにせよ、この時、私の心にあるのは、亜熱帯地方にありがちな、密林に一気に降る雨、スコールを胡蝶蘭にかけてあげる感じです。その後は、からりと放置です。胡蝶蘭の原産である東南アジアは、雨季が夏~秋、乾季が冬~春と、まさに胡蝶蘭の葉の成長期と、花の成長期に合致してるんですね。葉の成長期である夏から秋にかけては暑いし、カラカラになるのも早いから自ずと水をやる頻度も増えるでしょう。まさに雨季なイメージです。

冬場の気温の低下にはくれぐれも気をつけて

幸い私の住む地域は、温暖な地中海気候ですし、冬場はエアコンを入れてしまうので、リビングの室温が18度以下になることはほとんどありません。なので、特に何もしなくても、胡蝶蘭の住むリビングでは亜熱帯気候が保たれているわけです。

が、他のご家庭、たとえば、真冬にぐっと氷点下もしくは、氷点下近くまで下がる地域で、家の玄関など、エアコンの威力があまりきかない場所に胡蝶蘭を置いている場合は、要注意と思います。リビングに置いていても、真冬の夜中はみんな寝てしまって人がいないから、どうしても冷え込んでしまう、室温が10度以下になってしまう、といった環境の場合は、温室を作って管理といった対策をする必要が出てきてしまうのかもしれません。そうなると胡蝶蘭の栽培難度はぐっと上がってしまいますね。なので、家の中のどこかに胡蝶蘭の生育に適切な場所がないかを見つけられるかが栽培し易さの明暗を分けるのかもしれません。

 

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