【2020年3月9日更新】
このページでは、スペインの新聞を読んで気になったニュースを取り上げていきます。
世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルス(新型肺炎)。日を追うごとに陽性の患者さんの数は増え、感染者のいる国の数も広がっています。
先日より不定期でスペインにおける新型コロナウイルスの状況を、現地の新聞をななめ読みしながら、簡単に現状を紹介してきました(当ブログの新型コロナ関連の記事一覧はこちら)。
スペインにおける新型コロナウイルスの感染者数など最新のデータはこちらから確認できます
ここ数日、このブログは、スペインの新型肺炎のニュースサイトみたいになっていますが、事態を鑑みて暫定的に行っています。普段は普通のブログです。
- スペインの新型コロナウイルス感染者数は1210人(死者29人)
- スペインもブラックマンデー、株価下がる
- マドリッド州で感染者が急増中そして学校閉鎖
- ムルシア州で生後5か月の赤ちゃんが感染
- カタルーニャ州
- バスク州
- 学校はこれから閉鎖されるの?
- スペイン国内の犠牲者は17名に
- メノルカ島とムルシア州で新たな感染者が発生
- スペイン国内の犠牲者は10名に
- バルセロナの5つ星ホテルで新型コロナ陽性患者の利用が判明
- マドリッド州、老人福祉施設(デイサービス)の1か月閉鎖を決定
- 葬式へ出席したら…ラ・リオハ州の小さな街で起きたこと
- アンダルシア州ではさらなる感染経路不明の患者を確認
- 3人目と4人目の犠牲者はともにマドリッドの老人福祉施設に入所の方々
- さらに5人目の犠牲者はアラゴン州サラゴサの87歳男性
- アラゴン州感染者が1日で6人に増える
- スペインで2人目、バスク州で亡くなった人が判明
- カスティーラ・ラ・マンチャ州の感染者情報
- バレンシアでスペイン初、いやヨーロッパ初の死者が判明
- カタルーニャ州でも軽症患者の自宅隔離が開始
- マドリッドとカスティーラ・ラ・マンチャ州で子供3人の感染が判明
- サッカーやバスケの試合は無観客試合に?
- イスラエル、スペインを危険国認定?
- ~関連リンク~
スペインの新型コロナウイルス感染者数は1210人(死者29人)
3月9日19時30分現在(現地時間。日本は+8時間)、スペインにおける新型コロナウイルスの感染者数は1210人(死者29人)となりました。すでに回復した人は30人以上です。
自治州別では、マドリッドが577人(17人死亡)と圧倒的に多く、その後をバスク州(149、6人死亡)、ラ・リオハ州(102)、カタルーニャ州(101、3人死亡)、アンダルシア州(54)、バレンシア州(37、1人死亡)、カスティーリャ・レオン州(33)、アラゴン州(32、3人死亡)、カスティーラ・ラ・マンチャ州(26)、カナリア諸島(22)、ガリシア州(19)、ナバラ州(13)、カンタブリア州(12)、バレアレス諸島(11)、アストゥリアス州(10)、エストレマドゥーラ州(7)、ムルシア州(5)と続いています。(情報元)
スペインもブラックマンデー、株価下がる
新型コロナウイルスは、人々の健康のみならず、経済にも大きな打撃を与えています。とりわけ本日3月9日は、新型コロナウイルスに加えて、石油をめぐるゴタゴタが重なりました。
先週のOPECプラスの会議でロシアとサウジアラビアの石油減産をめぐる協調が決裂したことから、価格戦争のようになり、原油価格が29年ぶり(1991年の湾岸戦争以来)の低い値となったのです。新型コロナと原油価格下落のダブルパンチで、世界中で株価の下落が相次ぎました。
9日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均が一時2000ドル超下落し、取引が一時停止されるなど、混乱が続きました。日本の日経平均が5%ダウン、韓国(4%↓)、オーストラリア(7.9%↓)そして、ヨーロッパ…と雪だるま式に下落幅が増えていき、ドイツ(Dax)とイギリス(FTSE100)で7%、フランス(CAC 40)で8.4%、イタリア(FTSE MIB指数)に至っては11.17%と株価の下落が起こりました。
スペインの株価指数Ibex35も例外ではなく、本日のみで7.96%の下落。史上4番目となる数字です。それだけでなく、Ibex35は直近20日で、23.24%つまり価値が四分の一近くも下がってしまったのでした(情報元)。
マドリッド州で感染者が急増中そして学校閉鎖
1日で感染者数が倍以上に
3月9日午後5時にマドリッド自治州知事室が発表した情報によると、新たに8人が亡くなり、マドリッド州だけで16人の死亡が確認されました。また、昨日までマドリッドの新型コロナウイルスの感染者数は202人だったのに、本日は577人と倍以上に増加しました。
新たな感染者の1人として、大手電話会社オランジ(Orange)の女性従業員がいました。症状は軽く、自宅隔離となっていますが、会社に最後に行ったのは3月6日(金)でした。
新型コロナ、112には電話しないで
さらに、マドリッドの人が新型コロナについての相談をする際には、救急番号の112ではなく、900 102 112番を使用してほしいと呼びかけています。112番の回線がパンクしていると、全く別件の緊急事態の際に使用できなくなるからです。
なお、マドリッド州の報告によれば、マドリッド州で判明した感染者のうち集中治療室に入院する重症患者は全体の5パーセント、少し重症(un poco más graves)な患者が15パーセント、残りの80パーセントは軽症です。
SUMMA112と呼ばれるマドリッドの緊急医療サービスはこれまで、739件の検体を患者の自宅に直接訪れて採取しており、さらに165件採取予定があります(情報元)。
「少し重症」って重症なの、重症じゃないの、どちらかしら?
マドリッド州の全学校の閉鎖を決定
そして、9日午後8時過ぎに、マドリッド州のすべての学校を閉鎖する決定がなされました。具体的には、保育施設、小学校、中学校、高等学校、大学、要は全ての学校で、公立も私立も全てです。この決定で影響を受けるのは、150万人の生徒や学生で、期間は3月11日(水)~3月26日(木)までです(情報元)。
ムルシア州で生後5か月の赤ちゃんが感染
スペイン国内唯一感染者ゼロの自治州であったムルシア州ですが、昨日、マドリッドへ旅行した28歳女性(軽症で自宅隔離)の陽性が確認されてしまいました。
そして、本日9日になり新たに4人の感染が明らかになりました。うち1人は、生後5か月の赤ちゃんです。
生後5か月の赤ちゃんと34歳の母親は、普段はマドリッド在住で、週末をムルシア州のトタナ市で過ごすために、長距離バスを使って訪れていました。この34歳母親にも陽性反応が確認されており、2人はともにエル・パルマルのビルヘン・デ・ラ・アリシャカ病院に入院しています。2人とも症状は軽く、経過は良好です。この母子との濃厚接触者2家族が自宅で経過観察となっています(情報元)。
さらに、ペダニア・デ・チュラ市の27歳女性と、46歳のムルシア市の男性の陽性も判明して、現在ムルシア自治州の感染者は5名となっています。
なお、4人目の27歳女性は土曜から日曜の深夜に入院しましたが、経過は良好で、このままいけば火曜日には回復し、自宅隔離に移せることが期待されています。一方、5人目のムルシア市の46歳男性は軽症で、自宅隔離となっています(情報元)。
カタルーニャ州
2人の乳児の感染が確認
カタルーニャ州でも本日9日に、赤ちゃんの感染が確認されています。具体的には、生後6か月の赤ちゃんと、1歳の子供です。ともに軽症で、自宅で経過観察となっています(情報元)。
新たに2人が亡くなる
なお、カタルーニャ州では本日新たに2人が亡くなられました。1人は基礎疾患のある97歳男性で、3月6日からバルセロナの病院に入院しており、8日に亡くなられました。もう1人は、88歳女性で、2月27日から不調を訴え、3月6日よりバルセロナの病院に肺炎と呼吸不全で入院していましたが、9日に亡くなられました(情報元)。
市役所職員の感染と市議会議員の自宅待機
9日になって入ってきたのが、バルセロナ市役所職員の陽性が判明したというニュースでした。
感染したバルセロナ市役所職員が勤務していたのは、「経済、人材、経済推進部門」という部署。濃厚接触者として39人が確認されました。
うち市の政治の中枢を担う市議会議員との接触もあったようで、ジャウマ・コイボーニ、ジョルディ・マルティ、モンセラット・バリャリンといったカタルーニャ社会党の市議会議員らが、予防措置として自宅で経過観察となっています(情報元)。
保育士の感染が確認
さらにバルセロナ市グラシア地区の市立保育施設で働く保育士の感染も確認されました。保育士の濃厚接触者16人が自宅で経過観察となっています。
また、保育士の感染は週末に判明したため、9日月曜日より当保育施設は少なくとも2週間、閉鎖となりました(情報元)。
なお、先の市役所職員と保育士はともに、症状は軽く経過は良好とのことです(情報元)。
バスク州
ビトリア市のすべての学校の閉鎖を決定
バスク自治州は、アラバ県ビトリア市のすべての学校とバスクの公立大学(バスク大学)の閉鎖を決定しました。自治州政府の教育部門の説明によると、「学校で新型コロナウイルスの感染が広まっているから閉鎖するとか、子供の健康上の理由なのではなく、子供が(他の層に)感染を広げる対象になりかねないための予防的措置」、としています。
今回、バスク州アラバ県ビトリア市内のすべての学校が閉鎖されたことで影響を受けるのは、六万三千人の生徒と、70の保育施設および小・中・高等学校です(要は全部)。加えて、バスク大学のキャンパスや、学校の課外活動や時間外保育等も全て停止になります。停止期間は明日10日~23日の2週間です。なお、学校の停止期間中も、教員や学校関係者の業務は継続します。クラスはなくとも教務はあるから、とのことです。
本日より休校した3つの学校
一方で、ビトリア市の学校の閉鎖は明日からですが、本日既に3つの学校が他より早く14日間の閉鎖を決定していました。
まずは、ラ・リオハ州アーロ市(3月7日のニュースで詳しくお伝えしたクラスターの発生している地域)に近いバスク州アラバ県バスティーダの2つの学校です。
当該学校の生徒が陽性患者2人と接触があった後、もう一つの学校とフットサルの試合を行なったことが閉鎖の背景にありました。200人の生徒が影響を受けますが、8日の午後に決定していました。
もう1校は、アラバ県ビトリア市のイカストラ(バスク語を用いて教育を行なう学校)です。オドン・デ・アプライスという公立学校の教師2人の陽性が確認されたためで、月曜朝イチでWhatsAppで保護者に連絡が行き、クラスの中止が決定しました(情報元)。
スペイン国内における学校の閉鎖としては、これらが初めてでした。
なお、バスク州では9日、69歳女性が亡くなり、自治州内の死者が6名となりました。バスク州内の感染者は3月9日18時の時点で148人で、うち47人が入院しています(情報元1、情報元2)。
バスク州から~37度以上の熱なら活動を控えて
なお、バスク州政府はすべてのバスク住民に対して、子供が学校に行く前と、学校に帰ってきた時の1日2回、熱を測ることを推奨しています。そして、37度以上の熱があったり、呼吸器系の症状がある場合は、学校へ行かないようにとのことです。また、医療機関へのお見舞いや、介護施設へ高齢者を訪問する際にも、事前に熱を測って、同じく37度以上ある場合は訪問を控えてほしいと述べています(情報元)。
学校はこれから閉鎖されるの?
スペイン国内の学校が今後閉鎖されるかは、未知数です。というのも中央政府の保健省は、学校の全国的な閉鎖には消極的であり、あくまでも必要に応じて局所的に閉鎖すべきと考えている一方、各自治州によってその対応にはバラつきがあるからです。
…と当初はこう書いたのですが、9日午後8時すぎにマドリッドの全教育機関の閉鎖が決定されました。このインパクトは大きく、状況の変化によっては他の自治州がこれに続く可能性は高くなりました。
カスティーリャ・レオン州は学級閉鎖
カスティーリャ・レオン州は3月9日午後に、ブルゴス県ミランダ・デ・エブロ市の公立のアンドゥーバ幼稚部の年中組A、小学校2年A組、4年B組の3月18日までの学級閉鎖を決定しました。これで影響を受けるのは81人の生徒と11人の教員です(情報元)。
カスティーリャ・レオン州は、学校ではなく学級ごとに閉鎖する方針のようです。
ナバラ州は通常どおり
ナバラ州でも、3月6日にパンプローナ市のバラニャイン学校の幼稚部・小学校の27歳女性教員の感染が発覚しましたが、クラスは通常どおり行われています。
パンプローナ市の27歳女性教員は、アラバ県で陽性患者と接触した後、軽い症状に気付きすぐに医療機関に入院したため、学校への影響は小さいとしています。同学校の保護者は、児童の体温を毎日朝夕の2回14日間にわたって計測し、万一熱が出たら、すぐに救急(112)に連絡することになっています(情報元)。
~関連リンク~
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