スペインの新型コロナウイルス、3月3日の気になるニュース

海外生活
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【2020年3月3日更新】

このページでは、スペインの新聞を読んで気になったニュースを取り上げていきます。

世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルス(新型肺炎)。日を追うごとに陽性の患者さんの数は増え、感染者のいる国の数も広がっています。

先日より不定期でスペインにおける新型コロナウイルスの状況を、現地の新聞をななめ読みしながら、簡単に現状を紹介してきました(当ブログの新型コロナ関連の記事一覧はこちら)。

現在のスペインおよび各自治州における新型コロナウイルスの感染者数等の情報は、こちらのページをご参照ください。

グラフ・チャートで見るスペインの新型コロナウイルスの感染状況
このページでは、現在のスペイン国内における新型コロナウイルスの感染者数について、最新の情報が分かるグラフやチャートを紹介しています。
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パンプローナの39歳女性がコロナとインフルを併発

【2020年3月3日】

昨晩は3月2日夜に知ったのですが、私にとっては何げに衝撃だったニュースです。

2月29日夕方に、ナバラ州で最初の新型肺炎陽性となった方は、持病のないパンプローナ在住の39歳女性でした。

3月2日にナバラ自治州の感染症部門の責任者が行なった記者会見によると、驚くべきことに、この女性が新型コロナウイルスだけではなく、インフルエンザB型および他4つのウイルス(具体的に明示はせず)にも感染していることが判明しました。

この女性は当初、救急病院に入院しましたが、症状が重篤なので新型コロナウイルスの検査を行なったところ、陽性が発覚したのです。この女性は、ベルギーのアントワープへの旅行歴がありましたが、ベルギーはいわゆる危険地帯(中国、日本、韓国、シンガポール、イラン、北イタリア)の国ではないんですよね。実際、新型肺炎に感染したのがベルギーなのかは不明です。

3月に入ってもなお、女性はナバラ医療複合施設の集中治療室Bに入院の重体で、容態は安定しているとはいえ依然予断を許さない状態です(情報元)。

パートナーの男性も陽性が確認

なお、現在までに女性の関係者46人がウイルス検査を受けましたが、うち45人の陰性は確認されています。残りの1名は、この女性のパートナーで、一緒にベルギーを旅行した男性です。この男性はナバラ州ではなく隣のバスク州はアラバ県で陽性が確認され、現在は軽症のため自宅で経過観察となっています(情報元)。

さらに34歳親族の男性も陽性が確認

そして、本日3日になり、この女性の親族である34歳男性の陽性が確認されました。この男性はドイツ旅行の後、3月2日深夜にパンプローナに帰国し、女性の濃厚接触者として救急に赴いて感染が発覚しました。

現在までにナバラ州では53人に検査を行ないました。うち、39歳重体女性と女性の濃厚接触者2名の計3名(うち1名はバスク州でカウント)の陽性が確認されています(情報元)。

新型コロナとインフルが併発するという衝撃

このニュースで一番の驚きは、新型コロナウイルスとインフルエンザB型が併発するという事実です。だから病院に行って、最初にインフルの検査を行なってインフルエンザの陽性が出たからといって、新型コロナを否定する理由にはならないのです。

そして、この39歳女性のように持病がない若い人でも、インフルと新型コロナを併発して重体になっているケースがあるということは胸に留めておくべきでしょう。

それで思い出したのは、スペインの2人目の陽性患者でマジョルカのイギリス人男性(回復)があったのですが、この男性の娘さんがインフル陽性で新型コロナは否定されていたんですよね。結局、自宅で経過観察で娘さんも大丈夫だったのかしら。何もニュースがないということは、良い知らせと思うことにします。

この症状では気づけない?イタリア人陽性患者のインタビュー

【2020年3月3日】

もう一つ目をひいたニュースがエル・ムンド紙が行なったイタリア人陽性患者へのインタビュー記事でした(情報元)。

この男性は、カタルーニャで陽性が確認されて現在バルセロナはオスピタル・クリニックの一室に入院中です。インタビューの中では、具体的にどういった経緯で感染に気付いたか、症状はどうだったか等を説明していました。

で、私が思ったのは、

「これ、イタリア関係者じゃなかったら、新型コロナだって気づくの無理!」

博士論文で北イタリアへ

この男性は博士論文のために北イタリアはヴァレーゼやミラノに滞在していました。ただし、現地で病気の人との接触はなかった模様。実際、感染が発覚してから、イタリアの家族や友人にもその旨伝えたそうですが、その後、彼の関係者に陽性患者は出ていないようです。

そして男性は、バルセロナに戻ってから体調に異変を感じたため、2月25日に061(カタルーニャの救急番号)に電話連絡しました。ですが、熱も咳も呼吸器症状もないため何日か待つように言われました。その後も、特に熱や咳はなかったのですが、鼻づまりがひどくなり、28日には嗅覚が感じられなくなったとか。

鼻づまりで陽性反応

とはいえ、症状も良くなってきたので、普通に薬局に行くと、救急に行くことを勧められ、救急病院へ。その後、検査に回されて新型コロナ陽性が発覚しました。検査は、鼻と喉からの2つの検体をもって判断されたそうです。

担当した医者でさえも、症状を見るかぎり新型コロナの可能性は低いと明言していたとかで、おそらくイタリア旅行がなければ検査されることはなかったのではと思います。

鼻づまり、ですよ。それで陽性って…。もう、この症状で気づけって無理ですよね。

素人には分かりません…

うちの子もここ2週間ほど、鼻水・鼻づまりが酷いし、私も花粉症のせいか鼻の症状が例年より酷いのですが…と気にしてもね。新型コロナとの判別は素人ではまず無理ってことです。

スペイン予防医療学会が自宅隔離の方法を伝授

【2020年3月3日】

ラ・バングアルディア紙で、「コロナウイルスが近づいてきたとき何をするべき?」という記事が出ていました(情報元)。その中で、スペイン予防医療学会が自宅隔離の方法について説明している部分が興味深かったので、紹介してみます。

現在、カタルーニャ州では症状が軽度でも陽性患者はみな、バルセロナのオスピタル・クリニックに入院しています。ですが、今後、患者数が増えた場合は、症状が軽度の場合は病院ではなく自宅で隔離という方法が取られる可能性が出てきています。

新型コロナの陽性患者が自宅隔離を行なう際には、いくつか重要な決まり事があるとのことです。具体的には以下の通り。

  1. 十分な換気を行なう。
  2. 他の病気の人、免疫不全の人、妊娠中の人、高齢者は、患者と同じ家にいてはいけない
  3. 訪問者の数は最小限にする
  4. 患者は本人だけの個室を使う
  5. 他の家族との共有部分では、必ずマスクを着用し、共用部分と個室を出たり入ったりするたびに手を洗うようにする
  6. 患者が着用した下着や服は専用の袋に入れて、洗濯機に入れるときのみ開けるようにする
  7. タオル、ナフキン、ナイフやフォークなどは、かならず他の家族とは別々にする。紙製や使い捨てのものにすると、なお良い
  8. バスルームやトイレ、家の他の箇所で他の家族と共有する場所は、レヒア(塩素系)で掃除を行なう

結構、ハードル高いですよね。うちの場合、部屋のパーテーションをぶち抜いて、他の部屋や廊下と繋げている場所が多いから、完全に密室になる個室が1つしかない…。

新型コロナウイルスにより亡くなった遺体は検死せず

幸い3月3日時点では、新型コロナウイルスによる死者はゼロ名となっているスペインではあります(追記、2月13日に1名亡くなっていたことが3月3日夜に確認されました)が、水面下では万一亡くなる人が出た場合を策定しています。

あまり縁起の良いお話ではないのですが、万が一、新型コロナウイルスが原因で誰かが亡くなった場合は、基本的に検死は行わない方針となりました。その他にもご遺体の扱い方などいくつかの手順書が決定されました(情報元1情報元2)。

現時点では、遺体からの病気の感染は確認されてはいませんが、他の感染症による死亡の場合に倣い、検死に伴う関係者への感染予防の原則に則っています。一方で、家族や友人関係者は、しかるべき装備の状態で亡くなった方に別れを告げることはできます。

一方で、3月3日夜に明らかになったスペインで最初の新型コロナの犠牲者は、ご遺体の検死により2月13日に亡くなった時点で新型肺炎に感染していたことが明らかになりました。のちに、スペイン保健省は当該の手順書は、新型コロナウイルス患者の検死を禁止するものではないとしています(情報元)。

スペインで市中感染が心配される地域は?

【2020年3月3日】

3月3日午後5時(現地時間。日本時間は+8)現在、スペインにおける新型コロナウイルス感染者の数は150人となりました。うち13人は3つの自治州(アンダルシア、バスク、マドリッド)の医療関係者です。

この中で集中治療室に入院中の重症患者は7名です。7名はいずれも、重症の中でも症状は安定しています。

いくつかの地域ではイタリア等の危険地域から持ち込まれたものではない感染例も出てきています。

現在判明している感染者の中には、危険地域での感染でもなく、陽性患者との濃厚接触でもない、いわゆる市中感染が疑われるケースが14件あります。

とりわけ、マドリッド(トレホン・デ・アルドス)、バスク州(ビトリア)、アンダルシア州(マルベーリャ)が心配されています。

マドリッドでは感染者を多数確認

3月3日午後3時過ぎ時点で、マドリッドは感染者数が49名と急増しました。今回陽性が判明した人のうち、5人が集中治療室に入院する重体です。

また、マドリッドはモンテカルメロのサンタ・マリア・ラ・ブランカ小学校の男性教諭の新型コロナ陽性が確認されました。3月1日に肺炎で入院し、翌日2日に検査の結果判明しました。男性教諭は、2月25日より病欠していたとのことです。

マドリッドでは、現在すべてのウイルス起源の肺炎患者に対して新型コロナウイルス検査を進めています。また、3月3日正午時点で226検体を各家庭から集め、さらに30検体を採取する予定とのことで、積極的に検査を進めているので、今後も数が増加する可能性があります(情報元)。

トレホン・デ・アルドスで一体何が起きた

現在、感染経路不明の感染者が増加している地域の一つにマドリッドはトレホン・デ・アルドスがあります。スペインの軍事基地があるので有名な地域です。武漢からのスペイン人帰国組も最初にこの地に降り立ちましたよね。ここで一体何が起きてるのでしょう。

スペインで一番今心配されているトレホン・デ・アルドスは、マドリッドから18キロほど東の場所にある13万人弱の街です。ちょうどマドリッドとアルカラ・デ・エナレスの間にある感じです。大都市に隣接していて、人の行き来も激しい。実際、トレホン病院で感染が判明した2名(77歳男性50歳の男性)には接点はありませんでした。ここから、市中感染が疑われたのです。77歳男性に至っては2月15日から入院していました(感染が判明したのは2月24日)。

エクアドル最初の感染者もこの地に住んでいた

2月29日には南米はエクアドルで最初の新コロナ感染者が確認されました。71歳の女性は、2月14日にスペインからエクアドルに入国しています。3月3日現在、この女性の関係者の感染が次々と確認されて、エクアドルでは既に7人の陽性患者が出ています(情報元)が、この71歳女性がスペイン滞在時に居住していたのもトレホン・デ・アルドスだったのです。

つまり、女性のエクアドル入国日(2月14日)以前には既にトレホン・デ・アルドスに新型コロナウイルスが存在したことになります。

宗教団体の中での感染?

トレホン・デ・アルドスの中で次々と感染者が判明していく中で、一つの宗教団体が浮かび上がってきました。キリスト教の某宗派の宗教団体です。確かに、教会は人がいっぱい集まりますし、感染が広がる場所になりがちですよね。

一方、マドリッドの南にあるレガネスの宗教団体でも牧師の妻や関係者3名の感染が判明しています(情報元)。こちらの感染者にも渡航歴はなく、感染経路は不明です。

バスク州では211名が自宅隔離

バスク州では3月3日午後5時現在、13人の感染が確認されています。うち5人は医療関係者で、2人は病院の患者、さらに211人が陽性患者との接触があったとして自宅隔離となっています。うち100人以上はみな医療・衛生関係者で、医療人材の不足が危惧されています(情報元)。

新型コロナ感染者13人のうち、10人がアラバ県、1人がビスカヤ県、2人がギプスコア県です。

とりわけアラバ県のビトリアが心配で、1人目の感染者の感染経路が不明なため、市中感染の拡がりが危惧されています。

一人の女医から始まった感染

アラバ県ビトリア市で最初に新型コロナへの感染が発覚したのが2月28日のこと。同市内のTxagorritxu(チャゴリツ?)病院に勤務する女性医師でした。翌日29日には、別の女性勤務医の感染も確認されています。

女性医師は、他の女医と共にアンダルシア州のマラガで数日を過ごした後、2月17日に職場に復帰していました。18日より呼吸器系の軽い症状が認められましたが、通常どおりの生活を続け、同病院に勤務していました。その後発熱があって病欠後、肺炎の症状が見られました。インフル等の検査は全て陰性で、危険地帯への渡航歴もなく、陽性患者との接触もなく、持病もなく新型コロナ検査の条件には合致しませんでしたが、念のため行なった新型コロナ検査で陽性が判明した次第です(情報元1情報元2)。

その後、同病院の看護師や清掃者への感染も確認されましたが、医師らが担当した患者で新型コロナの陽性患者は出ておらず、医師らがどこで感染したのかは今も分からない状態です(情報元)。

さらに、3月2日には、同病院に勤務している医療関係者1人が、お隣のリオハ州で第一号の陽性患者として確認されました。リオハ州では2日時点で28件の陰性が確認されています(情報元)。

カスティーリャ・レオン州の2人は感染経路特定できず

また、3月3日正午に明らかになったカスティーリャ・レオン州の2名は渡航歴もなく感染経路が不明なケースでした。

1人は、レオン在住の国家警察官。先週、業務中に韓国人数人といざこざがあった後、咳など風邪の症状が出てきたようです。

もう1人は、ブルゴス県のミランダ・デ・エブロの52歳男性。同市のサンティアゴ・アポスタル病院へ入院後、新型コロナの感染が発覚しました。男性は3月1日の午後に救急で訪れ、咳と熱と肺炎様の症状がありました。男性にはイタリアや中国などへの渡航歴はありませんでしたが、症状から医療関係者の判断で検査に踏み切り、陽性が確認されました(情報元)。

アンダルシア州は患者の回復と新たな入院

セビリアの陽性患者、抗エイズ薬で回復・退院

【2020年3月3日】

アンダルシア州では3月3日現在12人の陽性患者が判明していますが、カタルーニャ州とは異なり、軽症の患者はみな、自宅で隔離となっています。うち、アンダルシアで最初の陽性患者で入院を余儀なくされていたセビリアの銀行勤務の62歳男性(記事には実名も出ていますが、ここでは伏せます)が退院しました。

この男性は、外国への渡航歴はなく、2月13日から症状が出始め、2月20日よりセビリア市内のビルヘン・デル・ロシオ大学病院に入院後、新型肺炎への感染が確認されていました。当初、両肺に肺炎の症状がありましたが、抗エイズ薬(ロピナビルとリトナビル)とインターフェロンβの投与という治療で症状が改善しました。

2月29日の段階で、ほぼ100パーセント回復と言われていましたが、医師は200パーセント回復してもらうまで病院にいてほしい、というわけで、3月2日を待って、退院の許可が下りました。

直近の2回の検査で、新型コロナの陰性が出ていますが、今後も自宅での経過観察は続けていきます(情報元)。

これは本当に良いニュースですね。

一方で、アンダルシア州は3月2日に、この62歳男性患者の治療に関与したビルヘン・デル・ロシオ大学病院の医療関係者2名(セビリア在住の28歳と36歳で自宅隔離中)の感染が判明(情報元)しています。

アルメリアの28歳男性も回復

また、2月28日より感染が判明し、アルメリア地中海病院に入院していたアルメリア県の28歳男性も、先週の日曜日3月1日に退院しています(情報元)。

マラガ県で新たな入院患者

セビリアの62歳男性の退院により、アンダルシア州の入院患者はゼロになった(軽症の方々は自宅隔離のため)かと思いきや、新たな陽性の入院患者さんが発生しました。

3月3日の情報によると、73歳の男性でマラガ県のビルヘン・デ・ラ・ビクトリア大学病院の集中治療室に入院しているとのことです。渡航歴はなく、現在感染原因を追究中。アンダルシア州で13人目(うち2人は回復)の陽性患者さんになります(情報元)。

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