前回の記事では、ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇を利用した海外旅行や海外出張中に、盗難に実際に遭ってしまった場合に、まず行なうべき4つのことについて説明しました。

ところで、一度盗まれたものが戻ってくる可能性は低いです。でも、ゼロではないのです。その可能性を少しでも増やす前に事前にできる対策があります。しかも、それは、盗まれた際の対策にもなりますので、ぜひ行なっておきましょう。
【必須】旅行に行く前に保険の加入を忘れずに
ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇を利用して行く海外旅行や海外出張の際には、海外旅行保険に加入し、携行品損害を付けるようにしましょう。最近では、クレジットカードに海外旅行保険が付随している場合がありますので、手持ちのクレジットカードに海外旅行保険が付いているか、そこに携行品損害が含まれているか、今一度確認しましょう。
また、クレジットカードに海外旅行保険が付いている場合にも、自動付帯の場合と、利用付帯の場合があります。利用付帯とは、ただそのカードを持っているだけでは海外旅行保険の保証の適用とはならず、たとえば、旅行代金のカード支払いが条件になっていたりするのです。旅行代金の支払いというのは、パックツアーをクレジットカードで支払った、旅行に行く交通手段の決済(新幹線や飛行機、バス、タクシーなどの料金)をその会社のクレジットカードで支払ったということです。カード会社によって条件が異なりますので、事前にしっかり確認しておきましょう。
手持ちのクレジットカードに海外旅行保険が付いていない場合は、海外旅行の際には、専用の旅行保険に加入しておくのが無難です。出発する日の空港で加入できる旅行保険もありますので、万一忘れてしまった場合は、早めに空港に行って手続きするといいでしょう。
また、海外旅行へ行くのを機に、海外旅行に強いクレジットカードに新規に申し込んでしまうという手もあります。そうすれば、毎回旅行のたびに旅行保険に加入する必要がないので、長期的に見ればオトクです。
最近のクレジットカードはショッピング保険なるものが付いているものもあるんですね。これだと、カード決済して購入したものが盗まれた場合、その額が保証されるようです。購入日から90日以内などの条件があるようですが、上手く使えば、盗まれてしまったものの額が取り戻せるかも。
現金・小切手にできる対策
残念ながら、現金や小切手が戻ってくる可能性は限りなくゼロに近いです。また、海外旅行保険の携行品損害でも保証されていないはずです。なので、人混みの多い場所へ行く際には、現金の携行はなるべく少なくしましょう。
高額な現金は持ち歩かない
日本人の中には、未だに高額の現金をもって海外旅行に行く人がいるようです。以前、スペインのテレビでドキュメンタリーを見ていた時に、ルーマニア人のプロのスリが、今まで一度のスリで一番儲かったのは、日本人旅行者から盗んだ200万円相当の現金だ、と言ってるのを聞いたことがあります。例えば、バルセロナの街角に立つ多くのスリはプロです。わざわざ他国からスリをしに出稼ぎに来ている人が多いです。スリで大量に稼いで、自国に大御殿を建設したりするんだそうです。そういう人の良いカモにならないよう気をつけましょう。
高額な買い物はクレジットカードで
高額な現金を持ち歩かない代わりに、高額な買い物はクレジットカードで決済を済ませるようにしましょう。
上に説明したように、決済したクレジットカードにショッピング保険が付帯していれば、万一購入したばかりの商品が盗難に遭っても保証されます。もし、ショッピング保険が効かなくても、持ち歩く現金の額は減らせます。
また、クレジットカードの為替レートの手数料の方が、現金の為替レートの手数料(日本円を現地通貨に替える際の手数料)よりお得だったりするのです。
現金の利用は、もしもの時にとどめる程度で、海外旅行に持っていく額を減らしておきましょう。
スマホにできる対策
スマホが戻ってくる可能性は低いです。でも、現金ほど低くはありません。GPSでの追跡などを恐れて途中で捨てるという場合もあります。その後警察にスマホが拾われて持ち主の元に戻ってきたというケースを聞いたこともあります。でも、あまり期待しないでください。
また、旅行保険の対象になりますので、盗難に遭った際にはかならず地元の警察での盗難証明を忘れないようにしましょう。
盗難ロックやGPSなどのスマホ対策を
スマホの悪用を防ぐためにも、事前に盗難ロックやGPSの機能をオンにしておきましょう。私のスマホはソニーのXperiaつまり、アンドロイドです。アンドロイド端末がGmailに関連付けられていれば、Andoroidデバイスマネージャーというアプリを使って、遠隔でスマホをロックしたりGPSでスマホの場所が分かったりします。
日本のスマホについては、私はあまり詳しくないので、こちらのリンクをご参照くださいませ。

写真などの大切なファイルはクラウドサービスに
スマホを盗まれてしまって痛いのは、これまで撮りためておいた写真が全てなくなってしまうこと。それを防ぐためにも大切な写真やビデオ、ドキュメントなどは、クラウドサービスにバックアップを取っておきましょう。私は、ドロップボックスの有料プランを使っています。月々1200円ですが、1TBまで容量が利用できるので、スマホのデータもPCのデータも、ワードプレスのホームページのデータも全て、自動でバックアップが取れるのでとても便利です。クラウドサービスは、ドロップボックス以外にも、Google DriveやOne Driveなどいろいろありますので、一つアカウントを持っておくと便利です。
カメラにできる対策
カメラが海外で盗まれてしまった場合は、残念ながらカメラが戻ってくる可能性はかなり絶望的です。ただし、海外旅行保険での携行品損害の対象にはなるので、保険に加入していれば、購入費用の一部は取り戻せます。あるいは、買ったばかりのカメラなら、ショッピング保険の対象となるかもしれません。
カメラのシリアル番号は控えておく
日本国内の場合、カメラの下取り屋さんなどは盗難品を販売するのを防止するために、下取りに出されるカメラのシリアル番号のチェックを行なっています。このため、盗難された高価なカメラを売りにだそうとしたのが、シリアル番号で判明したということがあります。
なので、事前にカメラやレンズのシリアル番号は控えておくと万一の時に役にたつかもしれません。
とはいえ、海外ではカメラのシリアル番号をいちいち調べているところは少ないと思うので、盗まれてしまった場合は、泣き寝入りとなるのが圧倒的でしょう。
財布にできる対策
実は案外、財布は戻ってくる可能性が高いです。ただし、現金やクレジットカードを抜かれてのうえですが。
私もスペインで財布を二度スられましたが、2回とも、お金とクレジットカード以外の財布の中身はまるまる返ってきました。日本の銀行カードやポイントカード、病院の診察カード、保険のカード、スペインの写真入りIDカードまでそのまんま入っていました。盗まれてから1ヶ月後に、警察から連絡があり、郵送で、あるいは、直接警察署へ取りに行く形で受け取りました。
どうやら、プロのスリというのは、現金以外興味がないようなのです。だから、現金を抜きとった後は、財布をその辺に捨ててしまう。それを誰かが拾うなり、警察が見つけるなりして、中に連絡先が入っていると、持ち主本人に連絡があるのです。
財布に住所と名前が書いてある紙を入れておく。
こういった事態を予測して、財布などに住所や名前が書いてある紙や身分証明書を入れておくのもありです。拾った人や警察が持ち主に連絡できる手段を入れておくといいでしょう。
財布に赤ちゃんの写真を入れておく。
また、これは本当か分かりませんが、どこかの調査で、財布に赤ちゃんの写真が入っていると、その財布が持ち主の元に戻る確率があがるというのを見たことがあります。赤ちゃんの顔をみてスリが同情するのでしょうか。拾った人がぜひとも届けたいと思うのでしょうか。なので、財布に赤ちゃんの写真を入れておくというのもありです。
クレジットカード会社の連絡先は事前に控えておく
また、これこそ重要ですが、旅行に行く前に、手元にあるクレジットカードや銀行カード、スマホの会社などの盗難時の連絡先を控えておくといいでしょう。今は、盗難に遭ってからでも、ネットなどですぐに調べることができますが、盗まれた場所に常にネット環境があるとは限らないし、動揺している時に検索するのも焦るし。事前にリストにしておくと、リストからどんどん連絡できるので、手続きも早く済みます。
バッグごと盗まれてしまった場合も想定して、連絡先の電話番号はスーツケースなどにも入れておくといいでしょう。
まとめ
以上、海外旅行で万一盗難に遭った際にも、盗まれたものが戻ってくる可能性を少しでも増やすためにも、旅行前にできる対策について述べてきました。おまじないのようなもので、これを行なったからといって必ず盗難品が返ってくるわけではありません。でも、何もしないよりは少しでも、確率があがるかもしれない。また、海外旅行保険の携行品保証に加入しておけば、盗まれたものの一部の金額が取り戻せるので、ぜひ、チェックしてみてください。皆様のご旅行が少しでも楽しいものになることを願っております。
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