下の階が火事になり、煙の怖さを実感

先日、下の階が火事になり、生まれて初めてガチで避難することを経験しました。本日は、火事の際の避難についてのお話です。



事件は午後4時過ぎ

事が起こったのは、晴れたとある日の午後4時過ぎのことでした。その時は家族全員が家におりまして、私一人玄関に一番近い部屋にてパソコンで作業をしていました。犬も含め他の家族は全員リビングでくつろいでいる状態。

すると、なにやら、臭うのです。焦げ臭い

最初は、近所の誰かが鍋を焦がしたのかなと思いました。ただ、鍋を扱うには少し遅い時間帯(こっちの昼ご飯は1時~3時)。まぁ、いろんな人がいるからな、と自分で納得しようとしましたが、焦げくさい臭いは強くなるばかり。食べ物というより、プラスチックが燃えたような臭いに感じました。

うーん、変だぞと思い始めます。どっかの電気のケーブルがショートしたかな。思わず、自分のパソコン周りを確認しましたが異常なし。

そこで、夫がトイレに行くべく付近を通りかかりました。私は「なんか臭うんだけど」と夫に言います。夫はふーん、と言いながらそのままトイレへ。

用を足して出てきたところを、もう一回、「なんか臭うんだけど」と話しかけました。するとその時、階下で誰かが「火事だ!」と叫ぶ声が聞こえました。その焦った声を聴き、ヤバイかも、と二人は瞬時に判断します。

避難の準備

「どうしよう」 外の状況は全く分かっていません。今思えば、インターフォンがあるのだから、インターフォン越しに外にいる人に呼び掛けて状況を聞けばよかったと思います。でも、その時はそんなことを考える余裕はなく

「とにかく逃げよう」

子供と犬を呼んできました。犬にリードを付けて、子供に靴とコートを履かせます。子供は何が起こっているのかさっぱり分からないので、ふざけた様子でなかなか着替えに協力してくれません。

「ねぇ、これからどこいくのぉ。ネモ(犬)も一緒にお出かけなのぉ?」とすんごい呑気に接してくるので、これはガツンと言わねばダメだと思い。

「あのね、火事かもしれないの。今すぐ逃げるのよ!」と緊迫した口調で諭すと、子供の靴を履くスピードが速まりました。

ドアを開けると煙で真っ黒

ドアを開けると、煙で真っ黒、何にも見えません。これってヤバイのかな。

火元がどこなのかも情報がないので分からない。ただ、熱さは全く感じませんでした。

かつて日本にいたときに近所の家屋が全焼する火事に遭遇したことがあります。その時は、火事の家は数十メートル先なのに、燃え盛る火が熱すぎて全く近寄れない、という経験をしていました。だから、熱さを感じないということは火は近くにないと判断しました。さらに、我が家は、3階にあり、小さな集合住宅なので、ダッシュで階段を降りれば15秒程度で外に出られるということも分かっていました。これは気合で駆け抜けるぞ!

犬のリードをひき、子供には、ママについてきなさい!と声をかけて、走りはじめました。この時、子供の手を引かなかったのは、階段を降りる際に、犬と子供で両手がふさがっていると、途中で転倒する危険が高いかなと思ったからです。子供は5歳。活発な子なので、私が走ったら一緒になって走ってくれると思ったのです。

私と犬が先に逃げる

それで、一気に階段を駆け抜けました。多分、時間にして20秒ほど。あっけなく建物の入り口に到着。しかし、子供がついてきません。え?なんで?

「ちょっとー何やってるの?早く降りてきて」と叫ぶと、上から夫が、そっちは大丈夫?と聞くので、大丈夫だってば!と答えると、子供を抱きかかえながら降りてきました。

後で夫に聞くと、下が本当に安全か、私と犬を先に行かせて確かめてから、降りてきたとのこと。私らは人柱かよ、と。

でも、それは多分言い訳で、本当は真っ黒な煙を前に一瞬足がすくんで動けなくなっていたんだと思います。夫は、スペイン人で避難訓練などろくにやったことない人ですから。

子供も、煙に驚いて、私についていかずに夫にしがみついてたよう。ああ、こういうときは、絶対に子供の手をつないで避難しないといけないんだなと実感しました。

消防車とパトカーが到着

外に出ると、既に避難した同じ建物の住人たちが建物の前にたまっていました。ほどなくして、消防車が2台とパトカーが1台やってきました。

どうやら、火元は2階で、玄関付近にあったゴミ袋(たぶん家主のタバコの投げ捨て)とその周辺が派手に燃えたけど、消防車が到着するより前に、家主によって火は消し止められたとのこと。私たちが避難したときには既に火はなかったことになります。火元が玄関だったので、建物の通路に煙が蔓延した模様。

すでに火は消えているという情報を聞き、警察官の方が火元の家主に話を聞いたり、消防隊員さんが建物の中に入って安全確認をしたりしていました。

子供の顔を見ると、鼻の穴が真っ黒。私も自分の鼻を確認すると同じく真っ黒。急いで降りてきたから、鼻や口をハンカチでふさぐことすらしなかったのです。夫も私も、鼻が真っ黒で、しかも、ちょっと息苦しい。子供は、夫のジャケットで口元をふさぐようにして降りてきたためか、息苦しくはないようでした。

のどのあたりがすごく気持ち悪い。ほんの20秒、煙を吸っただけでこんな風になるなんて。これがもっと長時間だったら、と思うとゾッとしました。小学校の時の発煙筒を使用した避難訓練を思い出しました。あの時も、のどのイガイガが数時間抜けなかったなぁ。

息苦しいのが気になったので、消防隊員さんに声をかけると、体内の一酸化炭素の濃度(たぶん)を測定してくれました。子供はゼロで、私も夫も問題のない数値。喉がイガイガしてるなら、と消防隊員さんがトローチをくれました。とりあえず健康被害はなさそうでよかった。

結局、避難した後、1時間ほど経過してから、問題なしということで、各自自分の家に帰っていきました。

学んだこと

と、まぁ、終わってみれば、何もなかったという結果になりましたが、今回の1件でいろいろ学んだことは多かったです。人生で、火事でガチで避難したのは初めてでしたので。

ちなみに、昔、日本の会社に勤めていたころ、爆弾騒ぎで避難したことはありました。その時は、パニックになるのを防ぐためか、上司がなぜ避難しなければいけないのか教えてくれなかったため(外に出ろ、とだけ言われた)、優雅にエレベーターに乗り、誰よりも早く外に出てしまった経験があります(みんな非常階段から降りてきた)。いつも呑気に考えずに動いてしまうのを反省です…。

というわけで、今回学んだことを以下にメモしておきます。

煙をナメるな

避難訓練で口にハンカチを当てますけど、あれって重要だなと改めて実感しました。ほんの十秒程度、煙を吸っただけで、鼻は真っ黒になり、喉のイガイガは半端なく、息苦しくなりました。

とくに火事に際にはどんな物質が燃えたのか分かりません。一酸化炭素をはじめ有毒ガスが蔓延している可能性があります。火がないからと安易に煙の中を行くのは危険だと実感しました。口にハンカチを当てるのも、煙を吸い込むのを防ぐには良いですが、一酸化炭素を防止する効果はないそうです。なので、煙があったら、なるべく短時間で駆け抜けるか、煙を避けて移動するのが重要です。

レンガ造りの家では、実は室内が安全

これは消防隊員さんから聞いたのですが、今回のように、自分の家が火元でない場合は、外に出ず、自分の家にとどまった方が実は安全なんだそうです。

木造家屋が多い日本では考えられませんが、こちらスペインの家屋はほとんどがレンガ造り。火にはかなり耐えられるらしく、唯一、火が入ってくる可能性があるのが、ドアらしい。

そのドアも木製だと短時間で燃えるけれど、多くの家のドアは中に鉄板が入っているタイプのもの(Puerta blindadaとかPuerta acorazada)なのです。我が家のドアも、相当頑丈なのを使っているのですが、消防隊員さんが見たところ、万一火が来ても1時間半は耐えられるドアなので、都市部だとその間にたいていは消防車が来て火を消し止めるから、家の中にいた方が煙を吸うことなく安全なんだそうです。実際、こちらで発生した火事の犠牲者の多くが部屋の中ではなく、階段や通路で発見されているとか。

火事が起きても、家の中に留まるって相当勇気の要る決断ですが、日本とは違うんだなぁと思ったのでした。日本だったら、着の身着のまま逃げ出せ!が鉄則ですものね。

もっとも、我が家の場合、パティオに面したドアは木製だから、あっちから火が回ったらアウトだなとは思いましたけどね。

子供の手は放すな

これは一番後悔してることですが、避難するときは必ず子供の手を引くこと。手を離してはいけないこと、ですね。

あの瞬間、本能で子供は私にくっついて走ってきてくれるはず、と思いこんでしまったのは大きな間違いでした。子供は足がすくんでしまうんだな、と。今回は結果的に、夫が子供、私が犬、と役割分担した形になったのでちょうど良かったのですが、子供がついてくると思い込んでしまったのが個人的にすごく反省した点でした。

火元の住人は周囲に教えてね

今回一番、焦ったのは情報がないことでした。どこが火元か、火は消えたのか、という情報があるだけで、動き方も変わったと思います。せっかく集合住宅のインターフォンがあるのだから、火元になった住人は、片っ端からインターフォン越しに、他の住人に連絡を取って、火事の状況を教えてくれても良かったのに、と思います。

火元の住人が誰よりも早く避難し、かつ、なんのアクションも起こしていないのには正直イラっとしました。火事だ!って叫んだのも、別の住人の女性だったし。

まとめ

以上、下の階が火事になり、避難をするという経験をして学んだことを書いてみました。火事なんてホント、ない方が良いに越したことないし、こんな思いは二度としたくはありませんが、いざ危機に直面してみないと自分がどんな行動を取るかはよくわからないものだと実感しました。皆様の日ごろの心の準備に、この記事が少しでも役に立てれば幸いです。

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