地元スペイン・バルセロナのテロ事件の経過メモ

2017年8月17日に、バルセロナのランブラス通りおよび、バルセロナから120キロ南の町カンブリルスで起こったテロ事件について、前回の記事で少し触れました。

地元バルセロナのテロ事件について思うこと
2017年8月17日午後5時ごろ、私の住んでいるバルセロナの中心街でテロ事件が発生しました。今現在、私自身が日本に一時帰国中というこ...

今回は、現地の新聞等を参考にしながら、私のメモ的に今回のテロの経緯をまとめておきたいと思います。

ランブラス通りとは

ランブラス通りは、バルセロナの中心カタルーニャ広場から海側に伸びるまっすぐな道路で道の両側を車が走行し、中央部が歩行者天国になっている通りです。

中央の歩行者天国エリアには、花屋や食べ物屋、土産物屋などの露店が立ち並び、バルセロナを訪れる旅行者なら一度は立ち寄るメジャーな観光スポットです。

付近には大小の宿泊施設も多くあり、リーズナブルな値段で泊まれる宿も結構あるので、街の中心に拠点を構えて観光を行ないたい旅行者が滞在したくなる場所でもあります。

また、バルセロナを代表するサッカークラブFCバルセロナが、国内外のリーグで優勝した暁には、このランブラス通りのカナレ―タスと呼ばれるエリアに人々が集結して、大騒ぎして、勝利を祝うというお約束のスポット、バルセロナっ子にとってのシンボル的な聖地でもあります。阪神タイガースの道頓堀みたいな感覚です。

一方で、両側には狭い路地がたくさん伸びており、一歩裏通りに入ると、お世辞にも治安が良いとは言えないエリアが広がっています。とはいえ、地の利から、バーやディスコ、レストランなども充実している場所なので、夜遅くまで盛り上がりを見せる場所でもあります。

そんなバルセロナの人々にとってシンボル的な、とっても大切な場所、観光客にとっても外せない観光スポットで、今回のテロは発生しました。

白いバンの暴走

2017年8月17日現地時間の午後4時50分。カタルーニャ広場からランブラス通りの入り口に向かって、一台の白いフィアットのバンが暴走を始めました。

2016年7月14日にフランスはニースで、2016年12月19日にドイツはベルリンで、2017年4月7日にスウェーデンはストックホルムで、トラックが暴走するテロが起こりました。トラックテロは、安価で少人数で行なうことができ、事前に察知することが困難です。

トラックテロの発生をきっかけに、各地で車の暴走を防ぐために障害物を設置するという策が取られました。実際、ガウディの代表建築物サグラダ・ファミリアの周辺等にはテロ防止の障害物が設置されました。

ですが、今回のランブラス通りに、テロ防止の障害物は設置されていなかったため、バンは容易にスピードをあげて、ジグザグにランブラス通りの歩行者エリアを暴走したのでした。

テロのバンは、多くの人々をなぎ倒しながら、露店にぶつかりながら、600メートル以上も暴走を続け、最終的に地下鉄リセウ駅付近のミロのモザイクがあるエリアで止まりました。運転手はそのまま逃走し、いまだに捕まっていない可能性があります。(27日追記:8月21日に、バルセロナから西に50キロほどの場所にあるスビラッツという街で、22歳の容疑者が爆発物のようなものを巻いた状態で発見され、警察官に射殺されました。)

警察による周囲の封鎖

テロに直面した人々は、付近のカフェやレストラン、商店等に逃げ込みました。人々が逃げ込んだのを確認して自主的にシャッターを閉める店もありました。

その後、警察がやってきて、事態が落ち着くまではシャッターを閉めて、外に出ないよう改めて指示を出すとともに、逃走した犯人が付近に潜伏していないか確認をしていきました。

同時にテロの被害に遭った方々の救助が行われました。再び犯人が戻ってくる可能性もあるのに、勇敢に負傷者の救護にあたった一般の方々もいたようです。

周囲の主要なデパートやショッピングセンター、道路、鉄道の駅が、警察の迅速な指示により次々と閉鎖されていきました。

デパートやお店の中にいた人々は、警察の指示がおりるまで3時間あまりを建物の中で過ごしました。この日バルセロナ市内で予定されていた主要なイベント等も中止されました1

警察がテロと認めたのは、事件が発生してから2時間ほど経過した後だったので、当初は、周辺の住民も観光客も一体何が起こっているのか分からず、次々と閉鎖されていく道路を見て、尋常でない何かが起こっていると察知したようです。

バンを借りた人物

ランブラス通りには、凶器となった白いバンが犯人に乗り捨てられていました。バンのナンバーから、それがレンタカーであることが分かりました。

レンタカーの会社に照会したところ、8月13日に借りられたバンは全部で3台。ランブラス通りで使用されたバンのほか、2台目のバンはバルセロナから北西に70キロほどのところにあるビック(Vic)という町で発見されました。

車を借りた人物の身分証明書から、カタルーニャ北部のリポイという町に住むモロッコ系でスペインに帰化した人物であることが分かりました。一説には、モロッコとスペインの二重国籍者という話もあります2

まもなく、弟に身分証を盗まれたと警察に出頭した当人が逮捕されました。なお、17歳の弟は事件当初、逃げた車の運転手として指名手配されていましたが、後述するカンブリルスのテロで警察に射殺されたことが判明しています。

検問を振り切った車

テロ発生後、バルセロナの主要な道路では警察による検問が行われていました。

同日17日午後6時45分(現地時間)。バルセロナ市北西部のディアゴナル通りの Zona Universitàriaと呼ばれるエリア(FCバルセロナのスタジアム カンプ・ノウのそば)で、警察の検問を振り切って逃走する車両フォード・フォーカスがありました。即座に警察は車に向かって発砲しましたが、車は逃げ切りました。

その後、そこから数キロ先(Sant Just Desvern)で逃走車両は発見されました。車の中からは、車の所有者がナイフで刺された状態で発見されました。犯人が車の所有者を誘拐して逃走し、殺害したものと思われます3

第二のテロ。カンブリルス

同日深夜を回ったころ、テロの一団は、バルセロナから南の海沿いに120キロほどのところにあるタラゴナ県のカンブリルスというリゾート地に現れました。

海岸沿いの道路(paseo Marítim)で行われていた検問を振り切ろうとした車両アウディA3こそが、テロ集団の乗る車でした。警察から逃げて歩道に乗り上げたところで、夫の誕生日を祝うためにカンブリルスを訪れていた夫婦ら3人をひき、女性が1人亡くなりました。残る2人も入院中とのことです4

横転したアウディから5人のテロ犯が逃走しました。うち4人は、一人の警察官の銃撃により死亡。残りの1名は、4人とは反対方向に、ナタを振り回しながら周囲の人間を切り付けて逃走しましたが、警察官らの銃撃により死亡しました。車の中からは、オノやナイフの他に、偽物の爆弾ベルトが発見されています5 。また、付近より、3台目のレンタカーのバンも発見されました。

亡くなった方のご冥福をお祈りいたします

結局、ランブラス通りでは13名が、カンブリルスでは1名が、ディアゴナル通りの逃走車両の所有者の方1名の計15名が亡くなり、100名以上の負傷者を出しました。

8月20日現在、まだ亡くなったすべての方の身元は確認できておりませんが、現在判明しているだけでも国籍がカナダ・アメリカ合衆国・ベルギー・イタリア・アルゼンチン・スペイン、年齢も3歳から80歳と、国籍も年齢も様々な方が犠牲になりました6

ある人は、夏休みのバカンスを利用して、家族みんなで旅行に来たのでしょう。カップルでのんびりと街を散策していた方もいらしたでしょう。親族に会いに来たついでにお散歩していた人もいたでしょう。ランブラス通り付近で働いていた人も…。

それぞれの人に、それぞれの人生があって、ストーリーがあって、精一杯生きていたはずなのに。あの日あの瞬間あの場所に居合わせてしまったことで、大切な命が、素敵な未来が、奪われてしまった。本当に悲しすぎて、出てくる言葉がありません。

重ねて、亡くなった方々のご冥福を祈るとともに、怪我をされた方の一日も早いご回復を願っております。

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